7:経験を得る為や誰かの為にお金を使う
アメリカの経済学者ロバート・フランク氏は、著書「ラグジュアリー・フィーバー」の中で、モノを買ったときに得られる幸福感は、腹立たしいほど短時間で消失するのに対し、経験、特に誰かと共有する経験にお金を使った場合は幸福感が長続きする。と述べています。
以前、僕がベンツを買った話を書きましたが、高級品を手に入れた喜びは買った瞬間がピークです。
翌日から減少する一方。
モノが与えてくれる幸福は本当に儚い。
いや、高級品は良くないという話じゃないんです。
例えば、有名人なんかが、すっごい買い物したりするでしょ。
店ごと買い占めたり。何百万円もする時計をポンポン買ったり。
その買い物が彼らにとって「ほどほど」だったら別にいいんじゃないかと思うんです。
何百万円もする高級品の裏に、技術やデザインの向上に人生をささげている人達がいるわけですから、高級ブランドで働く人の給料が生み出されるのは何の問題もない。
世の中すべてがチープであるべきとは思わないです。
むやみな高級品バッシングは、高級品自慢と同じくらい醜い。
そのブランドが好きで好きで手に入れたのなら、幸福感は長続きするでしょう。
でも、羨ましがられたい。自慢したい。俺は立派なんだ。認めろ!
そんな理由で高級品を手に入れても、幸福感は長続きしない。
一方で、家族がそろって旅行に行った。
なんてことない普通の旅館に泊まった。
だけど、海に沈む夕日は最高だった。
握った手は温かくて、心が通じた気がした。
そんな経験は、何年たっても思い出すたびに幸福感をもたらしてくれます。
また、他人の為にお金を使うことも幸福度を高めてくれます。
心理学者のショーン・エイカー氏は、46人の学生にそれぞれ20ドルずつ与えて使わせるという実験を紹介しています。
20ドルを他者の為に使う(友人にランチをおごる・妹におもちゃを買うなど)ように指示された学生は、自分の為にお金を使った学生に比べ、その日の終わりの幸福感は高かったそうです。
「幸せ」って何ですか?3で紹介したように、他人に親切にすると幸福感が増すのと同じ原理です。
では、一円でも多く人の為にお金を使うべき?
いいえ。
欧米の富裕層は何億というお金を寄付したりしますが、高額な寄付ができないからといって我々が幸せになれないわけではありません。
無理をして誰かにお金を使う必要はないんです。
家族を飢えさせたり、会社を傾けながら行うチャリテイーは、誰かの不幸を代償にしています。
同じように、家族を泣かせたり、会社を傾けてまで手に入れる高級品も誰かを不幸にしますね。
どこかで破綻する。
幸福感を高めるという作業は、一時的にブーストして行うモノではないんです。
日々少しずつ積み重ねる行い。
結局「ほどほど」が良いんですよ。
消費も、寄付も、あなたにとってのほどほどが一番。
誰かと比べるのでもなく、競うのでもなく、ほどほど。
金額の大小で、得られる幸福感に差はありません。
上手なお金の使い方、したいですね。
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