DIYで最後の想い出

ご無沙汰しております。

いやホント忙しくて。なかなかブログ書けなかったよ。

 

今日はAmazonで話題になっている商品についての想い出を。

 

「棺桶　組み立て式　白　布団付き　￥21000-」

 

え、Amazonで棺桶売ってるの？と話題なわけです。

これ、買ったことがありまして。

母の葬儀の時にね。

 

母は癌で何年も前に亡くなりました。

母も医者だったので、自分の病状は良く分かっていて、早い段階から覚悟を決めていました。

僕や妹の方が全然覚悟ができなくて、あわわわってなってました。

「じたばたするんじゃない。私でしっかり勉強しんさい」と、当時経験の浅い医者だった僕を𠮟咤激励してくれました。

数年間の闘病生活の間に熱心な仏教徒になっていた母は、最期は家で死にたいと、退院して自宅で過ごしながら、自分の葬儀の段取りを指示しました。

 

葬儀屋を呼ぶな。

寺を呼ぶな。

お経はこれを読め。

喪服は着るな。

葬式は親族だけでやれ。

湿っぽくすんな。賑やかにやれ。との仰せ。

 

患者さんが亡くなるのは医者をしていたら避けて通れない道ですが・・・

葬式を開催するのは経験がありません。

最初は葬儀社に問い合わせたんですけど、葬儀セット120万円～って話で

業者を呼ぶなと、却下。

どうしたらいいんかいなって調べてたどり着いたのが、この商品だったわけです。

 

注文から2日で配達。

組み立ては自分です。

釘不要。木槌でトントンやって、付属の内張を両面テープで張り付けて…

1時間くらいで完成。

「おかぁちゃん、棺桶できたよ」

「あら立派じゃない。ふふ我が子の手作りね。いいね。うん。」

お気に召したようです。採用です。

 

それから数日して、容体はぐっと悪くなりました。

「母さん、そろそろ逝くわ」

そう言い残して意識がなくなり、翌朝旅立ちました。

とても良く晴れた３月の朝でした。

 

 

さあ、忙しくなります。

市役所に死亡診断書を持って行って、火葬許可証を貰いました。

火葬場に電話して、予約を入れます。

火葬の費用が6500円

南無南無する部屋の利用料金は28600円

燃やしている間に家族が待ってる部屋の利用料金が4290円

そんなお値段。

 

ドライアイスを買ってきて、おなかにのせておかぁちゃんが腐らないようにします。

それからお部屋の飾りつけ。

お花を買ってきて活けたり、昔の家族写真を引っ張り出して壁に貼りまくります。

楽しい想い出が満載の部屋ができました。

 

その夜は、母の好物をみんなで食べて。

みんなで泣いたり笑ったり。

 

翌朝は母が指定したお経本を読んで、火葬場に出発です。

マイカーの後部座席を取り外して、棺桶を載せます。

母と最後のドライブです。

 

3時間ほどで火葬が終了。

Amazonで買った骨壺に、おかぁちゃんを収納して撤収。

火葬場からの帰り道。青空がまぶしく映ります。

 

 

立派な祭壇はない。

徳の高いお坊さんもいない。

すべてが手作りのお葬儀は、こうして終わりました。

 

 

 

何十人、何百人もお客さんが来るような葬儀だと、イベントとして規模が大きいのでプロの手を借りるのが良いと思いますけど、身内だけとか少数のお客さんだけとかだと、手作りもいいですよ。

いまだに親族で集まると、いい葬式だったと話題になります。

そして自分の葬儀を指示できた母を強靭な人だったなと尊敬するのです。