死が二人を分かつまで 2

さて、前回の続きです。

前回は人間の恋愛システムが、出産の形態と深い関係があることを紹介させていただきました。

今日は国連の人口統計年鑑のデータを元に、愛の賞味期限について話を進めたいと思います。 

 

国連の人口統計年鑑のデータによると、世界で離婚の許されている地域では、文化や宗教の違いなく結婚後4年目が離婚のピークであるというデータが出ています。

 

『七年目の浮気』という映画がありますし、「三年目の浮気」なんて歌もありました。

が、統計上、浮気が一番心配なのはむしろ結婚4年目のようです。

 

この「4年」という数値は、なぜ人類に共通するのでしょうか。

多くの人類学者が、この問いに答えを出しています。

 

実は、四年間というのは、アフリカのブッシュマンやオーストラリアのアボリジニーなどの伝統的な暮らしをする社会での、子供を身ごもるサイクルと一致するというのです。

 

農耕をせず、基本的に狩猟採取に頼るこうした社会では、人々の栄養状態が悪く、半ば飢餓状態で子育てをしなければならず、女性は出産の後おおよそ4年間は排卵が起こらなくなる。

4年間で赤ちゃんはどれくらい成長しているかと言うと、「すでに自分で歩き、言葉も通じる。母親は四六時中母乳を与える必要はなく、子供を他人に預けられるようになっている頃」なんですね。

 

こうした人間の生物的特性が備わっている以上、一人のパートナーと愛を育んだとしても、4年目には愛情は薄れてしまうのも止むを得ないのでしょうか…

この点について、恋愛科学の第一人者であるフィッシャー博士は、このように述べています。

「何百年、何千年も、人は大昔の筋書きを繰り返し演じている。気取っておしゃれをして異性の関心を引こうとし、求愛をし、目がくらみ、互いにとりこになる。それから家庭を持ち、子供を作る。そして浮気をして、家族を捨てる。再び希望に負けて求愛を始める。永遠の楽観主義者である人間は、生殖期間中ずっと尻が定まらず、やがて成熟すると落ち着くようだ。」

 

博士が言うように、国連のデータを細かく見ると、離婚のリスクが最も高いのは、生殖能力の高い20代であることが分かります。

そして、離婚したカップルの多くには、一人もしくは二人の子供がいること。

そして、離婚した人たちが、若いうちに再婚する確立が80%以上と、非常に高いことが、データによって示されています。

フィッシャー博士は、「人間は本質的に、期間限定の恋愛しかできない」と考えています。

 

なんか、違和感を感じませんか?  

国連のデータ、と言えばいかにも「この世の真理」であるかのように感じますし、フィッシャー博士の研究は、多くの有効な示唆にあふれていますが、「人間は浮気性」との結論に、僕は賛同しきれないのです。

中年になっても、年老いても、互いに愛しあっている夫婦は現に存在しますので。


次回、年老いても互いに愛しあっている夫婦の愛情の仕組みと、作り方を探りたいと思います。

今日はこの辺で。