みなさんこんにちわ。
最後の恋のはじめ方、第三回でございます。
前回は、恋の賞味期限についてお話しました。
今回は、賞味期限が切れる前に、どのようにして「恋」を「愛」に発展させるか、についてお話いたします。
今日のキーワードは「麻薬」と「成長」です。
今回も引き続きご登場いただくのは、フィッシャー博士。
博士の研究チームは、恋愛期間が長いカップルの脳をスキャンし、調査を行いました。
結果。
まずは、脳内で働く神経伝達物質について。
恋をしている時にはたらくPEAは、恋愛期間が長くなるにつれて徐々に分泌量が減ってきます。
代わりに出現するのが、「エンドルフィン」と呼ばれる物質です。
このエンドルフィンは脳内麻薬とも言われ、快感を呼び起こし、苦痛を忘れさせる効果があります。
ここで、注意してほしいのは、第二回で説明したPEAは「疲れを忘れさせてくれる」作用があり、今回説明しているエンドルフィンは「苦痛を忘れさせてくれる」と、両者は微妙に効果が異なるところです。
PEAとエンドルフィン、どっちの作用が強いかというと…
エンドルフィンの方なのです。
あれ、そんなに強い物質が頭の中に出てるんじゃあ、恋も愛も体にわるいんじゃないの?
って思うかもしれないわけですが…
PEAには覚醒作用があり、食事も睡眠も忘れて相手に没頭することを可能にしますが…
エンドルフィンには覚醒作用はなく、まったく逆の沈静作用があるのです。
PEAは「ドキドキ」
エンドルフィンは「安らぎ」
と言うと分かりやすいでしょうか。
「長く付き合っているカップルで、お互いのことを誰よりも分かり合っていて、信頼している。そんな二人の脳ではエンドルフィンが分泌され、苦痛を忘れ、穏やかな状態にあるのです。」と博士は語る。
なるほど。
「一緒にいると癒されるよ」って言葉の裏側にはエンドルフィンの働きがあったわけです。
エンドルフィンですが、落ち着いたカップルの間でのみ分泌されるわけではありません。
親が子供の笑顔を見た時の方が多く分泌されますし、じいちゃんばぁちゃんが孫の笑顔を見たときはより多く分泌されます。
自分の命を捨てても我が子を守りたいという、強い愛情。
ここにもエンドルフィンは働いているのです。
さて、愛情にあふれた脳で働く神経伝達物質の説明はこれくらいにして、次は安定した関係にあるカップルの脳についてお話いたします。
恋が始まったばかりの二人は「扁桃核」の働きが抑えられ、相手の事を否定的に判断できなくなっているって話はすでにしましたね。
恋の賞味期限が切れる頃、扁桃核は次第に目を覚まします。
付き合ってみたものの「やっぱりこの人ではないのかも」と感じ始める瞬間です。
二人の関係を愛にまで育てられなかったカップルは、ここから破局に向かいます。
破局に向かわなかったカップルの脳では、「帯状回前皮質」と「島皮質」が活発に活動することが分かっています。
この二つの部分の働きは、未だ正確にはわかっていませんが、「想い出のランキング」に作用しているのではないかと考えられています。
この結果を、フィッシャー博士は「二人が共に過ごした記憶の総量や、過去の記憶との対比で現在の恋愛が優れていれば、恋が愛に発展しやすいのではないか。」と考えています。
恋を愛に変えるには …
より良い想い出を作りましょう!
という事のようです。
つまり。
時間の経過とともにお互いが成長して、いろんな事を楽しめるようになっていれば、いろんな経験を重ねることができるでしょう。
しかし、二人が、もしくは片方が、年を取っただけで成長していないなら…なかなかその恋愛は最後の恋に発展するのは難しそうです。
恋を愛に育てるには。
お互いに成長しましょうね。
という結論でございます。
最後の恋のはじめ方 おしまいでございます。
三回に渡って長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
愛は素晴らしい的な論調で進めてきましたが。
実はですね。
恋と同じく愛にも賞味期限がございます。
生涯添い遂げる関係を作るのは、なかなか困難なようで。
それについては、そのうち書こうと思います。
それではまた。
コメントをお書きください