最後の恋の始め方2

みなさんこんにちわ。
「最後の恋のはじめ方」第二回でございます。


第一回では、恋が激しく燃え上がっている時のメカニズムについてお話しました。
今日は、恋の炎が消える時、についてお話いたします。

今日、ご登場いただく研究者はこちら。
ロンドン大学 生物神経学部 セミール・ゼキ博士
https://en.wikipedia.org/wiki/Semir_Zeki


博士の研究チームは、恋愛中の学生の脳と、恋人との別れを検討している学生の脳を「fMRI」でスキャンしました。

結果。

恋愛中の脳では「抑制」され、冷めている脳では「活動」している部分を発見しました。
第一回で紹介したフィッシャー博士は、恋をしている時に「働く」部分を発見し、 

ゼキ博士は、恋をしている時に「働かない」部分を発見したわけです。

その部分とは…「扁桃核」でした。

扁桃核は「LOVE MAP」で説明したように、好きか嫌いかを判断するところでしたね。
さらに細かい調査の結果、扁桃核のうち「嫌い」を判断する部分の機能が抑圧されていることが判明しました。

「これは、恋をしている人間は正常な判断が出来くなっていることを意味しています。恋人のことを批判的に見ることができないのです。恋は盲目といいますが、まさにその通りなのです。」

これは皆さまも経験あるかと。 
好きになっちゃうと、相手の笑顔は世界一素敵で、性格はどんな聖人よりも清く美しく、今まで出会ったことのない最高の人。って思ってしまう。

最高に盛り上がっている恋愛のさなか、脳のなかでは「燃え上がる作用」と「水を差さないようにする作用」が働いているんですね。

恋愛ホルモンPEAが大量に放出されると同時に批判中枢が抑制されて、激しく燃え上がる恋。

ところが、残念ながらこうした状態は永遠には続かないと、博士達は考えています。

「相手に夢中になっている人は実に厄介です。仕事や学業が手につかなくなり、周囲の迷惑も、友達の忠告も省みない。恋人に逢えるとなれば、何百キロも飛んでいってしまう。こうした状態は、どう見てもエネルギーを消耗しすぎています。」

ゼキ博士は、PEAが分泌され続けるとどうなるか、動物実験を行いました。

マウスの脳に電極を差し込んで、マウスがスイッチを押すと、マウスの脳内にPEAが分泌されるようにする。
すると、快感を覚えたマウスは寝食を忘れてボタンを押し続け、ある日、マウスの心臓は動くことを止めてしまった。

「PEAは疲れを忘れさせてくれますが、疲れを消してくれるわけではありません。疲れは確実に心臓に蓄積するのです。恋を守るPEAは、命を守らないのですよ。」

なるほど、「恋に胸を焦がす」とはよく言ったものですね。
死に近づきつつも、我々は恋をしてしまうのです。

とはいえ、そのまま死んでしまうわけにはいかないので、我々の脳には安全装置が組み込まれています。
この安全装置が働く時、それが恋愛ホルモンPEAの分泌が低下し始める時なのです。

継続調査の結果、激しい恋の賞味期限は12か月から18か月という結論が出ています。
終わらない恋は…存在しないんです。

しかし。
賞味期限を迎えるまえに、恋はさらに上の段階に上ることができます。
PEAではなく、別のホルモンが働き始めるのです。
博士たちは、PEAが働いている状態を「恋」
別のホルモンが働く状態を「愛」と便宜的に定義しています。

恋を愛に昇華させ、必死に次の恋を探さないで済む。

そんな方法について、次回お話しようと思います。

それではまた。