更新が一か月以上も空いてしまいました。ごめんなさい。
以前のブログでヒトの恋愛はどのようにして始まるのか。についての研究を紹介しました。
今回は折角始まった恋愛がなぜ終わるのか。どうしたら終わらないかについてお話しようと思います。
ご紹介したい科学者はこちら。
恋愛科学の第一人者 ヘレン・フィッシャー博士
https://en.wikipedia.org/wiki/Helen_Fisher_(anthropologist)
今回のキーワードは「チョコレート」です。
まずは「恋愛の始まりの状態」から。
皆様も経験があるかと思います。
恋をした時、相手の事を四六時中考え、自分を見つめる笑顔や、普段の些細な仕草さえいとおしく思えてしまう。
いつの間にか、頭の中は彼または彼女の事でいっぱいになってしまい、授業中や仕事中に思い出しては溜息をつく。
何度も何度も携帯を眺めては、なかなか返ってこないメールの返事にやきもきする。
こうした恋の諸症状が出ている時、はたして脳はどのように働いているのか。
その恋愛のメカニズムを解明しようというわけです。
博士は多くのカップルの脳を「fMRI」という機械でスキャンしました。
結果。
「男も女も激しく恋に落ちている時、脳の同じ部分が活発に活動しています。その場所こそ、恋の中枢なのです。」
フィッシャー博士によると、その場所とは、腹側被蓋野と尾状核と呼ばれる部分だという。
腹側被蓋野と尾状核は、すべての脊椎動物が共通して持つ、きわめて原始的な脳で「爬虫類の脳」とも呼ばれている部分に含まれます。
恋の中枢が「爬虫類の脳」に存在することに、博士は驚いたという。
「恋と言えば、嫉妬や喜びなどたくさんの感情が渦巻く現象なので、感情にかかわる脳の領域、大脳辺縁系や扁桃核が関わっているとばかり考えていたのです。」
ちなみに脳の構造は、中心に行くほど原始的な内容を、外側に行くほど高度な内容を司ります。
原始的な生命体ほど外側の脳は発達していないのね。
腹側被蓋野と尾状核は、大脳辺縁系よりも内側にあり、より原始的。
で、大脳辺縁系は喜怒哀楽など原始的な感情を司ります。
扁桃核については、LOVE MAPで説明したから省略するよ。
「恋は、考えるとか感じるといった事とは全く次元が違うのです。ましてや理性でコントロールできるものではありません。もっと原始的な抑えきれない衝動なのです。」と、博士は語る。
ここで少しだけ、ガイダンスを。
脳の神経は、ただ存在するだけで感情を生み出す事は出来ません。
神経と神経の間を情報をもって走り回る郵便屋さんがいなくては、複雑な感情を生み出すことはできないのです。
この郵便屋さんを「神経伝達物質」といいます。
この神経伝達物質も、いろんなのがあってね。
興奮や怒りの情報を運ぶ、アドレナリン
喜びや快感を運ぶ、ドーパミン
などなど。
では、恋の情報を運ぶ神経伝達物質はなんだろうか。
フィッシャー博士はフェニルエチルアラミン(PEA)であると言います。
PEAは増加すると脳に、興奮する、陶酔するなどという一種の幻覚作用を引き起こすと同時に、疲労を忘れさせてしまいます。
そう、強力な作用を持つPEAが、理性の及ばない古代の脳で働くことで、「恋の力」は生まれるのです。
そしてPEAが含まれる食べ物…それが「チョコレート」
多くの女性が好きですね、チョコレート。
我を忘れるぐらい好きですね、チョコレート。
女性のみなさん。
医学的に言うと、あなた方はチョコレートが好きなのではありません。
チョコレートに含まれる、甘い恋愛を思い出させてくれる「PEA」が好きなのです。
ところでPEAですが、女性よりも男性に効くんですよ。
チョコレートを歴史的に見てみると、中世ヨーロッパでは「禁断の媚薬」として珍重されており、古代アステカの歴代の王たちは、女性を愛する時に恋の媚薬として必ずホットチョコレートをあおり、恋心を高揚させていたというのです。
バレンタインデーに女性がチョコレートを贈るのは、男性に魔法をかけている。と言えるかもしれませんね。
さてさて、長文にお付き合いいただき、ありがとうございます。
次回、愛し合う二人の間から、なぜPEAが消えるのか、どうしたら消えないのか。
についてお話したいと思います。
では、今日はこのへんで。
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